内藤哲也「辞めます」宣言の1秒前まで新日本辞めるつもりなかった!「面白いかなって」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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内藤哲也「辞めます」宣言の1秒前まで新日本辞めるつもりなかった!「面白いかなって」

■フリー転向で生まれてきた期待と楽しみ

 

 9年前にIWGPヘビー級を初めて戴冠した時、内藤哲也は次のように語っていた。

「今まで皆様が想像できなかった世界に俺が連れて行きますよ。その運命、デスティーノ(スペイン語で“運命”の意味)を握っているのは俺ですよ」

 再び、想像できない世界を選んだ内藤は希望に満ち溢れていた。

「新しいもの、自分の中でこうしたいなというのが出てきているので、これからの先のことは明るく見えています」

 一緒に新日本を退団したBUSHIと「ロス・トランキーロス・デ・ハポン(Los Tranquilos de Japan)」を結成。5月4日に新日本ラストマッチを終えてから初めてのリングは、7月25日(日本時間26日)にイギリスの団体へ上がることが決まった。

「日本国内でももちろん行ったことない場所はまだいっぱいありますけど、それよりも遥かに行ったことない国の方が多いわけで、当面は海外かなと思っています。ただ、それも現時点(取材日)での考えで、試合をやったら『やっぱり日本でやりたいな』と思うかもしれないので、それはちょっとわかりませんね」

 ちなみに6月17日に、内藤は突如として行きつけのたこ焼き屋でゲリラバイトを決行。大勢のお客さまと共に、人気女子プロレスラーのウナギ・サヤカが乱入。彼女の自主興行への出場オファーがあったが丁重にお断りしたそうだ。

 一方で楽曲の権利関係で今までの入場曲である「STARDUST」が使えなくなった。

「あの曲は作るときに自分も立ち会って『こうしてほしい』『ああして欲しい』といっぱい要望を出して作ったんで、すごい思い入れがあるんです。だから使えないってなった時はショックでしたね」

 しかし現在は新しい入場曲も完成済み。フリー第一戦のリングで初披露となる。

「新日本を辞めたことだし、入場曲に関しても1歩踏み出そうかなと思っています。福岡でトークイベントをやった時に携帯から流したんですけど、試合では初めてなので楽しみにしています」

 フリーになった内藤に対戦してみたい相手がいるかどうか聞いてみると意外な答えが返ってくる。

「今まで対戦したことのないレスラーよりも、以前戦っていた選手との再会の方が興味ありますね。オカダは今ヒールなんですよね。変わった彼の対角線に俺が立ったら面白いじゃないですか。ケニー・オメガともやってみたいですね。飯伏幸太とタッグ再結成してオカダとやるかもしれないんでしょ。俺がオカダの横に立ってもいいですよ」

 プロレス少年だった頃のように目を輝かせて語る姿が印象的であった。

■苦しい時代を生きる読者へ、内藤哲也からのメッセージ

 

 周りから期待されなくなった男が、2015年に自らを変えて大逆転。プロレス界のトップにまで上り詰めた内藤哲也。あれから10年経って、今までできなかった新たなる道を進み始めた。

 そんな内藤に「一歩踏み出す勇気」を持てない人へメッセージをお願いしてみた。

 何かを思案したような顔を見せた後、まっすぐ視線を向けて言葉を選びながら語ってくれた。

「新たに何かを始めても失敗するか成功するかわからないわけで、簡単に『一歩踏み出そうよ』とは言えないです。口で文句を言うのは簡単です。それでも何か現状を変えたいのであれば、失敗するか成功するかわからないけど、一歩踏み出すことが大事だと思います。

でもやるからには、リスクがあることもちゃんとわかった上で、それでも本当に何かを変えたいのであれば、勇気を出して、俺と一緒に一歩踏み出して欲しいと思います」

 

▲覚悟を持って一步踏み出せ!というメッセージをもらった

 

取材・文:篁五郎

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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